チェンマイの魅力は豊かな自然がすぐそこにあるところ!
チェンマイ旅行を計画しているなら、ぜひ訪れてほしい特別な場所があります。
それは「タイの屋根」とも呼ばれるタイ最高峰、ドイ・インタノン (Doi Inthanon / ดอยอินทนนท์) です。

標高2,565メートルを誇るこの山は、チェンマイ市内の蒸し暑さが嘘のような、年間平均気温約12℃という冷涼な別世界。
雄大な自然景観はもちろん、王室ゆかりの歴史や、山と共に生きる人々の文化に触れることができる、魅力の詰まった場所です。
しかし、その特殊な環境ゆえに「どうやって行けばいいの?」「どんな服装が必要?」といった疑問も多いはず。

この記事を読めば、以下の全てがわかります

これがわかる!

・ドイ・インタノンの必見の見どころ7選
・ツアーから自力まで、自分に合ったアクセスの選び方
・トレッキングコースの魅力と注意点
・後悔しないための季節ごとの服装と持ち物リスト

この記事を参考に準備を万全にして、忘れられないチェンマイの思い出を作りに出かけましょう。

ドイ・インタノンって、そもそもどんな場所?


ドイ・インタノンからの眺め
ドイ・インタノンからの眺め
ハナ@のんびりノマドトラベラー

ドイ・インタノンは「ヒマラヤの裾野の裾野」だよと聞いた時なんだかものすごーーーくときめきました。ロマンを感じて即ツアーに申し込み。
ガイドさんもとても親切で行ってよかった!
「ドイ・インタノンに霜が降りると、ニュースになるんだよ。タイ国民はみんなテンション上げて大喜びするよ」ときいてやっぱタイ人ってキュート♡と思いました。

ドイ・インタノンは、単に「タイで一番高い山」というだけではありません。
その魅力を知れば、訪れる楽しみが何倍にもなるはずです。

「タイの屋根」の気候と自然

ドイ・インタノンは、チェンマイ市街から南西へ約100kmの場所に位置する国立公園。
その最大の特徴は、タイの他の地域とは大きく異なる冷涼な気候にあります。

山頂付近の年間平均気温は約12℃で、一年を通して涼しく過ごしやすい環境が保たれています。特に乾季(11月~2月)の朝晩は気温が0℃近くまで下がることもあり、霜が降りる「メーカニン (Mae Kha Ning / แม่คะนิ้ง)」という、タイでは非常に珍しい現象も見られます。

このような冷涼な気候は、この地が、雄大なヒマラヤ山脈から続く長大な山並みの、その末端に位置することによってもたらされています。そして、その特有な環境が、苔むした幻想的な「雲霧林(クラウドフォレスト)」や、500種を超える野鳥が生息する豊かな生態系を育んでいるのです。

チェンマイ市内が30℃を超える日でも、山頂はまるで日本の秋のように涼しいため、服装には注意が必要です。

王様の遺志が眠る、聖なる山

「ドイ (Doi / ดอย)は山を表すランナー語。
もともとは「大きな山」を意味する「ドイ・ルアン (Doi Luang / ดอยหลวง)」と呼ばれていましたが、チェンマイ最後の領主であったインタウィチャヤーノン公が、この山の森林保護に尽力したことから、その名に因み「ドイ・インタノン」と呼ばれるようになりました。
彼の「遺灰をこの山の頂に」という遺言は娘によって守られ、今も山頂にはその功績を偲ぶ碑が静かに佇んでいます。

ロイヤルプロジェクトと山岳民族の暮らし

ドイ・インタノン周辺には、古くからカレン族やモン族といった山岳民族が暮らしています。
かつて、一部の民族はアヘンの原料となるケシの栽培で生計を立てていましたが、故プミポン前国王(ラーマ9世)が主導する「ロイヤルプロジェクト」によって、彼らの暮らしは大きく変わりました。

このプロジェクトは、アヘンに代わる作物として、冷涼な気候を活かした花や野菜、果物、そして高品質なコーヒーなどの栽培を推進するもの。
これにより、山岳民族は安定した収入を得られるようになり、かつてのアヘン畑は、今では美しい農園やコーヒー畑へと姿を変えています。

最後にこの山岳少数民族のマーケットに立ち寄ってくれるツアーも多いです。

絶対に外せない!ドイ・インタノン観光の必見スポット7選

広大なドイ・インタノン国立公園には見どころが点在しています。
限られた時間で効率よく楽しむために、絶対に訪れたい7つのスポットをご紹介します。

1. タイ最高地点の碑 (Doi Inthanon Summit, จุดสูงสุดแดนสยาม)

まずは何と言っても、タイ最高地点(標高2,565.3341m)を示す標識が立つ山頂エリアを目指しましょう。
ここがタイで最も空に近い場所です。
駐車場から記念碑までは歩いてすぐ。旅の記念に、必ず写真に収めたいスポットです。

2. アンカー・ルアン自然遊歩道 (Ang Ka Luang Nature Trail / เส้นทางศึกษาธรรมชาติอ่างกาหลวง)

山頂の駐車場のすぐ向かい側にある、見逃せないスポットが「アンカー・ルアン自然遊歩道」です。
約360メートルの短い木道が整備されており、まるで別世界に迷い込んだかのような、苔むした幻想的な「雲霧林」の中を気軽に散策できます。
ドイ・インタノンの豊かな生態系の真髄に、わずか15分ほどで触れることができる貴重な場所です。

3. ツイン・パゴダ The Twin Pagodas (Chedi Khu / เจดีย์คู่

山頂から少し下った場所にある、二つの壮麗な仏塔(パゴダ)は、ドイ・インタノンの象徴的な風景です。
これらは、タイ国民から深く敬愛されるプミポン前国王とシリキット王妃の60歳の誕生日を記念して、タイ空軍によって建立されました。

  • プラ・マハータート・ナパメータニードン (Phra Mahathat Naphamethanidon / พระมหาธาตุนภเมทนีดล): 大地を思わせる茶色の仏塔。1987年にプミポン前国王のために建てられました。
  • プラ・マハータート・ナパポンプーミシリ (Phra Mahathat Naphaphonphumisiri / พระมหาธาตุนภพลภูมิสิริ): 空を思わせる青紫色の仏塔。1992年にシリキット王妃のために建てられました。

仏塔の周囲は、見事に手入れされた花々の庭園になっており、高地の涼しい気候の中で咲き誇る色とりどりの花々と仏塔のコントラストは圧巻です。
※国立公園の入場料とは別に、100バーツの入場料が必要です。

4. ワチラターン滝 (Wachirathan Waterfall / น้ำตกวชิรธาร nâm-tòk wā-chī-rā-thān)

公園内には多くの滝がありますが、最もアクセスしやすく人気なのがワチラターン滝です。
年間を通じて水量が豊富で、高さ50メートルから流れ落ちる水は迫力満点。
舞い上がる水しぶきで、晴れた日には美しい虹がかかることもあります。

5. シリターン滝 (Sirithan Waterfall / น้ำตกสิริธาร nâm-tòk mâe-yá)

ワチラターン滝と同じく、メインの道路沿いにあり立ち寄りやすい滝です。
展望台から眺める形になりますが、森の中に静かに流れ落ちる美しい姿を見ることができます。

6. メーヤ滝 (Mae Ya Waterfall / น้ำตกแม่ยะ)

もし時間に余裕があれば、ぜひ訪れてほしいのが「公園内で最も美しい」と称されるメーヤ滝です。
落差280メートルという巨大な岩盤を、水が幾筋にもなって白いレースのように滑り落ちる様は、まさに圧巻の一言。
ただし、公園のメインルートからは外れた場所にあるため、訪問には追加の時間が必要です。

7. 山岳民族の市場 (Hill Tribe Market ) / モン族市場(ตลาดม้ง tà-làat móng)

ツイン・パゴダへ向かう道の途中などにある市場では、主にモン族の人々が、ロイヤルプロジェクトで栽培された新鮮な野菜や果物、イチゴやプラムといった加工品、そして可愛らしい刺繍が施された民芸品などを販売しています。
お土産探しにもぴったりのスポットです。

自然を全身で感じる!おすすめトレッキングコース

エミ@弾丸アクティブトラベラー

ドイ・インタノンの大自然をより深く体験したいなら、トレッキングがおすすめです。
楽々!…というわけではありませんが、ちゃんとしたシューズを履いていけば初心者でも楽しめます。
わたしは「キウ・メー・パン自然遊歩道」を楽しみました。
連なる尾根の向こうはミャンマーなんだなあと島国国民としてやけに感動。
ガイドさんもちゃんと気にしてくれるので、安全に散策ができました。

絶景パノラマビュー!
「キウ・メー・パン自然遊歩道 ( เส้นทางศึกษาธรรมชาติกิ่วแม่ปาน (Sên Thāng Sùek-săa Tham-má-châat Kìw Mâe Pāan)」

1周約3km、所要時間約2時間の周遊コースです。
トレイルの前半は神秘的な雲霧林を歩き、後半は一気に視界が開け、山の尾根を歩きます。
尾根から望む180度のパノラマビューは息をのむ美しさで、遠くにツイン・パゴダを望むこともできます。

【参考 Klook 】ケーマエパン自然遊歩道 & ドイインタノン日帰りツアー

注意点

  • 森林保護と安全確保のため、雨季(6月~10月)は閉鎖されます。
  • 安全のため、モン族のガイド(有料:1グループ220バーツ程度)の同行が義務付けられています。

滝と棚田とコーヒーと。
「パードークシアオ滝自然遊歩道 (Pha Dok Siao Waterfall Nature Trail / ผาดอกเสี้ยว / Phăa Dòk Sîao)」

全長約2.6km、所要時間約2時間の下りが中心のコースです。
森の中の小川に沿って下っていく道のりで、竹で組まれた橋を渡ったり、大小さまざまな滝を眺めたりと、冒険気分を味わえます。
トレイルのハイライトは、終盤に現れるカレン族の美しい棚田風景。
ゴール地点のメークラン・ルアン村では、彼らが栽培した新鮮なコーヒーを味わえるカフェで、心地よい疲れを癒すことができます。

【参考 Klook 】ドイインタノン国立公園・パードークシアオ滝 1日ツアー

注意点

  • こちらも地元のカレン族ガイドの同行が必要です。
  • 通年オープンしています。

タイの一番高い場所で日の出が見たい!

ドイ・インタノンで体験できる最も特別なことの一つが、荘厳な「日の出(ご来光)」を鑑賞することです。
タイで最も空に近い場所から、眼下に広がる雲海と共に昇る朝日を眺める体験は格別です!

ベストスポットは山頂じゃない!雲海と朝日を見るならココ

意外に思うかもしれませんが、日の出を見るための最高の場所は、標高2,565mの山頂エリアではありません。
山頂は年間を通じて霧が発生しやすく、特に早朝は視界が遮られてしまう可能性が高いためです。
より確実で美しい日の出を望むなら、山頂から少し下った場所にある「キウ・メー・パン自然遊歩道 (Kew Mae Pan / กิ่วแม่ปาน)」の入口付近が最高の鑑賞スポットとされています。
このエリアは視界を遮るものが少なく、気象条件に恵まれれば、壮大な雲海から太陽が昇るという、息をのむほど幻想的な光景に出会えます。

日の出鑑賞コースもしっかりとツアーが用意されているので、それを利用した方が間違い無いでしょう。

【参考 Kkday】【タイの屋根で日の出観賞】ドイ・インタノン山での日の出、国王・王妃の二つのパゴダ、アンカネイチャートレイル半日ツアー

【参考 Viator】ドイ・インタノン国立公園の日の出とハイキング

日の出鑑賞を成功させるための準備と注意点

徹底した防寒対策は必須
ドイ・インタノンの早朝は、季節を問わず冷え込みます。
特に乾季(11月~2月)の朝の気温は、氷点下近くまで下がることも。
「タイだから」と決して油断せず、ダウンジャケット、ニット帽、手袋など、日本の冬に対応できるレベルの万全な防寒対策を必ずしてください。

夜明け前の行動開始
美しい日の出を拝むためには、当然ながら夜明け前に現地に到着している必要があります。
チェンマイ市内からでも車で約2時間かかるため、ツアーは午前4時頃に出発することも珍しくありません。
個人で行く場合も、余裕を持った計画を立てましょう。

ハイシーズンの混雑
乾季(11月~2月)の週末やタイの連休には、日の出を見ようとする人々で大変混雑し、駐車場が満車になったり、交通渋滞が発生したりすることがあります。
元旦のご来光はタイのローカルの人たちも狙っていて、道が混み合うことも!
特に人気の鑑賞スポットは場所の確保が難しくなることもありますので、時間に余裕をもって行動することをおすすめします。

チェンマイ市内からのアクセス、あなたに合うのはどれ?

チェンマイ市内からドイ・インタノンまでは片道約2時間。
アクセス方法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
自分の旅のスタイルに合わせて選びましょう。

ハナ@のんびりノマドトラベラー

おすすめは混載ツアーです
他の観光客と一緒のツアーなので自由度は高くはありませんが、現地のツアーデスクでもオンラインのアクティビティ予約サイトでも必ず取り扱いがあることから予約の難易度が低いことと、最初から最後までガイドさんがいて時間も見繕ってくれるのでとても安心です。

交通手段料金目安(1人あたり)メリットデメリットこんな人におすすめ
混載ツアー1000~2,000バーツ / 1人 ぐらい手配が楽、効率的、送迎・昼食付きが多い行動の自由度が高くない初めて訪れる人、個人手配が面倒な人
プライベートツアー2,350 THB~(人数により変動)~ / 1人 ぐらい自由な旅程、プライベート空間、快適料金が最も高い家族連れ、グループ、特定の目的に時間をかけたい人
タクシーチャーター2,500~3,200バーツ / 1台 ぐらい自由な旅程、ツアーより安価な場合もガイドなし(トレッキングに必要なガイドは別途料金必要)、運転手とのコミュニケーションが必要自分のペースで回りたいが運転はしたくない人
ソンテウ(チャーター)1台あたり約2,000~3,000 THB(人数割)大人数なら非常に安価、ローカル体験乗り心地が悪い、安全性への懸念、料金交渉が必要予算を抑えたい若者のグループ、冒険好きな人
レンタカー/バイクレンタカー 1日800 THB~
バイク 1日200 THB~
最高の自由度、好きな場所に好きなだけ滞在可能山道の運転技術、国際免許証必須運転に自信がある人、隅々まで探検したい人

*横方向にスクロールできます。
※上記はあくまで目安です。
料金や条件は時期や会社によって変動します。

後悔しないための服装と持ち物ガイド

アイ@子連れ家族トラベラー

ドイ・インタノンはファミリーで楽しめるスポットです!
神聖なるツインパゴダへ行く方はマナーとして、それでなくとも、自然の豊かな場所ですから、怪我や虫刺されを防ぐ意味でも長袖・長ズボンがおすすめです。ですが、涼しい高地といえどもトレッキングをしているとそれなりに汗もでてくるので、脱ぎ着ができる服装で。

ドイ・インタノン旅行で最も重要なのが服装の準備です。
チェンマイ市内の感覚で訪れると、寒さに震えることになりかねません。

ベストシーズンは?

空気が澄み、晴天率が高い乾季(11月~2月)がベストシーズンです。
美しい景色を望める可能性が高く、早朝には幻想的な「雲海」が見られるチャンスもあります。

服装の絶対基本!「重ね着(レイヤリング)」

ドイ・インタノン観光の服装は「重ね着」が鉄則です。
市内が30℃でも山頂は10℃前後という大きな気温差に対応するため、簡単に着たり脱いだりできる服装を準備しましょう。

【シーズン別】服装完全ガイド

ハナ@のんびりノマドトラベラー

わたしがドイ・インタノンを訪れたのは1月の中頃でした。
美しい快晴の空!
上は、長袖Tシャツ2枚とナイロンコットンのマウンテンパーカー
下は、中にユニクロのヒートテックのレギンスを仕込んで、コットンの長ズボン
トレッキングのうちに暑くなり、マウンテンパーカーを脱ぎ腕まくりになりましたが、上着がないとだいぶ心細い感じがしました。
日によって気温も変わりますが、語3個までに!

シーズン場所推奨される服装
乾季 (11月~2月)山頂・高地必須: ライトダウン、フリース。長袖シャツ、長ズボン。早朝はニット帽や手袋もあると万全です。
山麓・滝長袖シャツに長ズボン。朝晩や日陰では肌寒いので、薄手のパーカーなど羽織るものがあると便利です。
暑季 (3月~5月)山頂・高地長袖シャツ、長ズボン。日中は快適ですが、風が吹くと肌寒いことも。ウインドブレーカーが役立ちます。
山麓・滝半袖TシャツでOKですが、日差しが非常に強いので、羽織るものや帽子で対策を。
雨季 (6月~10月)山頂・高地必須: 防水・防風性のあるジャケット(レインウェア)。中はフリースなどで体温調節。足元は防水の靴が望ましいです。
山麓・滝半袖Tシャツと、すぐに羽織れるレインウェア。滝の近くは水しぶきで濡れるので、速乾性のある服が良いでしょう。

*横方向にスクロールできます。

あると便利な持ち物リスト

  • 必須
    防寒着(マウンテンパーカー、フリースや薄手のダウンなど)、歩きやすい靴(スニーカー以上が望ましい)
  • 日差し対策
    帽子、サングラス、日焼け止め
  • その他
    飲料水、虫除けスプレー、カメラ、雨具(特に雨季)、酔い止め(車酔いしやすい方)

まとめ

ドイ・インタノンは、ただ景色が美しいだけの観光地ではありません。
そこには、タイという国の自然の奥深さ、王室と国民の深い絆の物語、そして困難を乗り越え未来を築いてきた人々の力強い営みが息づいています。
この記事で紹介した情報を参考に、あなたにぴったりの方法で「タイの屋根」を訪れてみてください。
チェンマイの街の喧騒から離れた涼しい空気の中で、きっと忘れられない感動が待っているはずです。

ドイ・インタノン国立公園 基本情報

開園時間5:30~18:30(時間は変更になる可能性があります)
国立公園入場料外国人 大人 300バーツ / 子供 150バーツ [cite: 78]
車両入場料別途必要(料金は車両タイプによります)
その他料金の目安ツイン・パゴダ入場料:100バーツ
トレッキングガイド料:コースにより必要
(例:キウ・メー・パン 220バーツ/グループ)

*横方向にスクロールできます。

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